「スタジオご紹介」シリーズ、今回は先駆的な制作会社であるHornetにインタビューを行い、スタジオについて詳しく聞いてきました。

Hornetは20年以上に渡ってマルチに活躍する制作会社であり、アニメーションスタジオです。

Hornet は、創造とストーリーテリングへのたゆまぬ情熱を原動力とし、北米、そして世界で最も人気のあるアニメーションスタジオのひとつです。Hornet は、「アイデアの種を、野心的で美しく、予想外の作品に変える」ことを誇りとしており、多彩でユニークな作風を持ち、観客とのつながりを大切にする監督たちを厳選しています。

ストップモーションアニメーションのスペシャリストです。

3D 、2D 、ミクストメディアのアニメーションに加え、Hornetはストップモーションの世界的リーダーです。また、自社撮影スタジオ、アート部門、社内ディレクター、プロデューサー、アニメーター、ファブリケーター、パペッターを擁し、ユニークな世界観と完全にオリジナルなコンテンツを構築するために全力で取り組んでいます。

私たちは、HornetのRy Gloverさんに詳しくお話をお聞きしました。

Hornetは20年以上にわたって世界的なアニメーションを制作してきました。貴社はどのようにして業界の形を作りだし、リードしてきたのでしょうか?

ディレクターの登録システムを思い付いたのは私たちではありません。決して違います。しかし、私たちは早くからディレクター登録システムを採用しており、少なくとも米国で最初にディレクター登録を採用したスタジオのひとつであると考えています。Hornetが2001年に設立された当初は、ディレクターが実際にどんな仕事をするのかクライアントに説明しなければならないことが多々ありました。私たちは業界全体でその周知に努めました。そうしながらも、私たちは自分たちの仕事の目的を見失いませんでした。その目的とは、私たちは創作を愛し、独自の芸術的なアイディアに命を吹き込むことに集中するという、実にシンプルなものです。ディレクターを育て、彼らのビジョンをサポートしたり、それと同等の情熱をクライアントとの対話にも注ぎ、さらにクライアントの声にしっかり耳を傾けること…そのすべてにおいて、私たちの目標は常に一つです。つまり、すべてのプロジェクトに対して最高のサービスを提供することです。

アニメーション制作に関して一番誤解されていることは何だと思われますか?

これまでに私たちが耳にした最大の懸念事項のひとつは、アニメーションが「漫画的」であり、時に子供っぽいと思われていることでした。しかし実際には、アニメーションはメッセージを伝えるための非常にダイナミックなツールです。とても流動的で柔軟性があります。トーンやスタイルもさまざまです。ブランドに特化したメッセージであれ、幅広いストーリーテリングであれ、アニメーションはあらゆる種類のコミュニケーションのための素晴らしいツールなのです。

あなたは20年以上にわたって世界的なアニメーションを制作してきました。Hornet はどのようにして業界を形成しリードしてきたのでしょうか?

私たちはディレクター・ロースター・モデルを発明したわけではありません。決してそうではありません。しかし、私たちは早くからディレクターモデルを採用しており、少なくとも米国で最初のディレクターモデルスタジオのひとつであると感じています。Hornet が2001年に設立された当初は、ディレクターが実際にどのような仕事をしているのかということについて、クライアントに教えなければならないことが多くありました。私たちは、業界全体でそのような会話を発展させる手助けをしました。それは、技術を愛し、ユニークな芸術的ビジョンに命を吹き込むことにレーザーフォーカスすることです。ディレクターを育て、彼らのビジョンをサポートすることから、同じレベルのケアをお客様との対話にも適用し、さらに重要なことにはお客様の声に耳を傾けることまで、私たちの目標は常に唯一のものです。

もうひとつ特筆すべきことは、私たちは早くから自前の撮影ステージを持ち、ファブリケーション、ストップモーション、テーブルトップなどの作業を社内や現場で行ってきました。これにより、私たちは機敏な動きができるようになり、ディレクターたちは自由に仕事ができるようになりました。このモデルは、ますます多くのスタジオで模倣されるようになっています。

まとめますと、芸術的なビジョンへにこだわり、創作にこだわり、コラボレーションにこだわり、そしてこれらすべてを実現させる有効な方法を提供すること…こういった意識を、Hornetは業界に広める手助けができたと考えています。

今後アニメーション制作はどうなっていくとお考えですか?

まず第一に、プレイヤーの数が増えました。また、新しいツールやテクノロジーも増えています。コンテンツ全体が非常に迅速かつ広範に進化しているため、直線的に追跡することはほとんど不可能です。イノベーションはどこからでも生まれる可能性があり、また実際に生まれています。私たちにとって、その最前線にいることは、やりがいがあると同時にエキサイティングなことです。10年前、私たちは主に伝統的な型の仕事(例:30秒と60秒の放送スポット)をしていました。今日、私たちの仕事は、成果物やフォーマットだけでなく、仕事自体がどこから来るのかという点でも、非常に多岐にわたっています。エージェンシーとの継続的なコラボレーションに加えて、ブランド・ダイレクトの仕事も増えています。つまり、この業界では、自分たちの理念に忠実でありながら、適応して成長することができる人が常に報われるのです。

この数十年で、業界で起きた最も大きな変化は何でしょうか?

現時点で明らかなのは、リモートワークでの制作能力と面白みのある新たなテクノロジーがキーポイントということでしょう。新型コロナウィルス流行のため、制作会社はリモートワークをより多く採り入れるようになるでしょう。特にコロナ禍の最初の頃に皆さんが感じたように、アニメーション制作の魅力の一つは、大規模なクルーや対面式の撮影を必要としないことです。また、リモート制作では世界中の人材やチームが参加できる可能性が生まれます。テクノロジーの面では、リアルタイムのVRや、その中でのアニメーションのあり方に、業界全体が期待を寄せています。

Hornetに関して言えば、私たちのアニメーション制作の未来は面白そうですし、多面的と言えます。直近の計画では、現在の3倍の広さを持つソーホーの新オフィスに移転する予定です。また、スタッフは全員がリモートワークに移行する予定です。また、私たちはアメリカや海外の他の地域で、より大きな存在感を示したいと考えています。最後に、私たちはすでに社内のデザインチームを拡大し、モーションデザイン部門を強化し始めています。RelayStudioやVuckoなどのモーションデザインに長けるディレクターをメンバーに加えました。また、社内の重要な人材をクリエイティブディレクターに昇格させました。今後、よりニーズに合った自社制作を提供できるよう、意図的な措置も講じています。これらはすべて、ディレクターたちのビジョンと全制作を担う弊社をぴったりと一つに融合させるという、創業時の使命と理念を遂行するためのものです。両方の長所を活かした最高の状態を作り出していると言えます。

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